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前ページゼロの花嫁 ゼロの花嫁 エピローグ「その後の皆様」 カトレアが上機嫌で花壇の花に水をやっていると、馬車の音が聞こえたのでそちらを振り返る。 見慣れた馬車は正門をくぐり屋敷の入り口まで辿り着くが、 馬車の中の人物が降りる前に屋敷の扉が開き、喜色満面のエレオノールが飛び出してくる。 恐らくエレオノールは彼が屋敷に戻る時間が近いので、窓から外を延々伺っていたのだろう。 そわそわする姉の姿を想像して思わず笑みが零れる。 領地は人に任せ、ヴァリエール一家は今ほとんど全員がトリステインの屋敷で暮らしている。 カトレアの体調が良くなった為、その婿探しをする意味でも王都に居るのが一番と父は言っていたが、 むしろ忙しすぎる父の都合のような気もする。 アルビオンから戻ったエレオノールは、それまでが嘘のように謙虚になった。 一度カトレアがその理由を尋ねた所、自分の無力さを思い知ったと恥ずかしげに呟いていた。 エレオノールらしい元気さが失われてしまったのが少し残念ではあるが、もっと嬉しい事があった。 グラモン家の息子さんがエレオノールのお婿さんとして迎えられた事だ。 最初は伯爵の血筋とはいえ、三男なぞ冗談ではないと渋っていた父も、彼の温厚な人柄と、 心に秘めた情熱にほだされ、遂に結婚を認める事になった。 今では、必ずやヴァリエールを継ぐに相応しい男に育て上げてみせると鼻息も荒い。 母は最初から厳しく接していたが、これは誰にでもそうであるし、 より以上に厳しく当たるのはきっと彼が気に入っているからだとカトレアは思っている。 家族がもう一人増えてくれた。それがカトレアには何より嬉しかった。 外出も苦にならなくなったカトレアは、父やエレオノールの紹介で何人か友人を得る事が出来た。 にぎやかすぎる彼女達に付き合うのは疲れる事でもあったが、常に新鮮さがそれに勝った。 こうして生活は劇的に変わったが、皆が皆元気でいてくれるので、カトレアはそれだけで幸せだった。 しかし、たった一つだけカトレアにも気がかりがある。 愛しい愛しい大切な妹ルイズは、今日もまた何処かで危険の最中を駆け抜けているのだろうから。 エルフの森深くまで踏み入ったルイズ、キュルケ、タバサの三人は、木のうろに隠れるように身を潜める。 「あっちゃー、まずったわ。エルフってやっぱり強いのね」 そうぼやくルイズの襟首を引っ掴むのはキュルケだ。 「あったりまえでしょうがああああああ! だから止めとけって言ったのに人の話聞かないから!」 むっとなったルイズもキュルケの襟首を掴み返す。 「何よ! 残らず燃やし尽くしてやるなんて息巻いてたのアンタでしょ!」 そんな二人を無視して周囲を探っていたタバサは、ぽつりと呟く。 「……退路も断たれた。これ……本気でマズイ」 木々が生い茂る森の中は、まるで静止画のように動きを見せず、時折聞こえる鳥や獣の声が響くのみだ。 しかし、ルイズもキュルケもタバサ同様周囲を探ると、その先に潜むエルフ達の影を捉える。 「百……かしら。キュルケ、いざとなったらここら一帯アンタの魔法で消し飛ばしてやりなさい」 「こっちも一緒に吹っ飛ぶわよ。言っとくけど1リーグ超える範囲は調節なんて効かないわよ。 そこ越えたら後は3リーグ四方全部消し飛ばすしかないし、そんな悠長に魔法唱える暇なんて与えてくれないでしょうに」 「相変わらず雑ねぇ」 「うっさい、そもそもエルフのインチキ魔法相手に通用するかどうかもわかんないんだから、今回爆炎はナシよ」 「連中がインチキならアンタのはデタラメじゃない。触れただけで蒸発する炎とか卑怯の域よそれ」 タバサは油断無くエルフ達の動きを探る。 「……私が偏在使えば不意打ちで五人は倒せる。ルイズは?」 キュルケだけでなく、風特化でもないのに偏在使えるタバサも充分デタラメである。 背負った二本の剣を見ながらルイズはやる気無さそうに答えた。 「私も同じぐらいかしら。本当鬱陶しいわねぇ、魔法だけじゃなくて体術もしっかりしてるわコイツ等」 エルフは常識では考えられぬ魔法を用い、相手によっては通常の魔法や剣で触れる事すら難しい者も居る。 しかし彼女達は事も無げにこんな台詞を吐く。 「私がその間に魔法で吹っ飛ばしたとしても、まあ半分は残るわ。んで生き残りの一斉魔法でオシマイっと」 今まで相手にしてきた人間とは根本的に違う、そんな存在であるとわかっていたのだが、 目論見が甘かったと言われれば正にその通りである。 キュルケはルイズのピンクの髪を眺めながらぼやく。 「ま、コレに付き合ってここまで生き延びたんだから、それで良しとするしか無いわね」 タバサもまた危機に似合わぬ微笑を浮かべる。 「こんなキツイのはハヴィランド宮殿攻防戦以来。でも今回は……」 ハルケギニアに後生まで語られる三人の物語は、ここで幕を下ろす。 天蓋の付いたベッドで気だるげに身を起こすアンリエッタは、 隣に寝ていたはずの者が既に衣服を身につけている事に気付き、寝巻きを身にまとう。 「もう……お出になるのですか?」 男は帽子を被りマントを羽織る。 「トリステインの至宝を狙う間男は、それらしく退散すると致しましょう」 ぷっと吹き出したアンリエッタは、ベッドから起き上がり男に寄り添う。 男は軽く彼女を抱きとめ、耳元で小さく囁く。 「……少しだけ、心の内を曝け出してもよろしいでしょうか」 「なんでしょう」 「私は、ウェールズ陛下を忘れさせる事が出来ているのでしょうか」 アンリエッタは今度こそ声に出してくすくすと笑う。 「私の心は、とうに貴方に捉えられておりましてよ、ワルド」 恋文を返せ、そう伝えた相手が九死に一生を得たからとて、では再び元の鞘にとは易々と出来ぬもので。 苦しい想いを抱える日々が続く中、アンリエッタの心を慰めたのはトリステインに次々訪れる朗報と、 事情を察し、事ある毎に気を配ってくれるワルドの存在であった。 満足気に頷くと、ワルドは部屋の窓を開き、窓枠に飛び乗り器用にバランスを取る。 「まあ」 「では、姫君のお心を見事頂戴できましたので、わたくしはこれにて……」 マントを一振りすると、ワルドは影も形も消えてしまった。 ワルドが魔法のマントを用いて転移した先では、オールドオスマンが苦々しげな顔をしていた。 実はこれ、タバサがアルビオンに行った時ネコババしてきた物である。 あの魔法の物品の素性を調べる度、あまりのレアリティに腰をぬかしかけたのも随分前の話だ。 オールドオスマンにこんな顔をされてはワルドも苦笑するしかない。 「お説教ですかな」 「最近は頻度も多くなったでな。年寄りをあまり困らせるものではないぞ」 「美姫に惹かれるは男の悲しい性ですよ。ですが、何度も言っておりますように、私は不実を働くつもりはありません」 オールドオスマンは大仰に両手を広げる。 「いっそ一夜の火遊びにしておいてくれ。本気で彼女を娶るつもりだとか、 話を聞いた時は全てを忘れて隠居しようかと思ったぞ」 「はははっ、まだまだオールドオスマンのご助力無しには私も独り立ち出来ませぬ故、今後も何とぞよしなに」 今ではオールドオスマンはワルドの良き協力者となっていた。 しかし、そんなオールドオスマンにも、ワルドが本心で彼女に惚れているのかどうか、見極める事は出来なかった。 それ程ワルドという人物は奥が深く、容易に計り知れぬ心を持っていたのだ。 彼がうろたえる様を見たのは、オールドオスマンも数える程しか無い。 内の一つ、ルイズとの決闘は何とも衝撃的であった。 「私が勝ったら婚約解消。負けたら煮るなり焼くなり好きにしてちょうだい」 そう言い放って、スクウェアメイジでありトリステイン最強の騎士であるワルドに挑んだルイズは、 魔法を吸収する剣をかざし、ワルドに勝利を治めたのだ。 既にルイズとの結婚にそこまでの利は無かったので、わざと負けたのかとも思ったが、 敗北した後のワルドの茫然自失とした様は、それが真剣であったのではと思わせる程であった。 それ以降、ルイズ達の奔放っぷりは最早誰の手にも負えぬ程暴走して行った。 ガリア王ジョゼフを退位に追い込んだり、ゲルマニア皇帝をたらしこんだりとやりたい放題である。 何でもロマリアとも揉めたらしいのだが、そこはもう聞きたくないとオールドオスマンは関わるのを拒否した程だ。 今は何処で何をやっているものやら。 「では、私はこれにて」 そう言って立ち去るワルドを見送りながら、オールドオスマンは深く嘆息する。 「ワシの人生って、もしかして悪ガキ共の後始末で終わってしまうんではないのか?」 既にトリステインの重鎮となったワルドを、平然と悪ガキ呼ばわりする自身の稀有な感性と能力は知らんぷりらしい。 のんびりと夜道を散歩するワルドは、ふと、その手に残るぬくもりを思い出す。 思慮が足りない、分別も不足してる、 おおよそ国家を担うに相応しい器ではないと馬鹿にしていたのだが、彼女にも美点はあった。 相手が嫌がる事を出来れば避けたいと思う弱さと紙一重の優しさ、 一つ事に集中すると他が見えなくなる視野の狭さにも繋がる一途さ。 王として全ての民を分け隔て無く愛すべきであるのに、 心寄せた相手に強く惹かれ、一心に何かをしてやろうとする健気さ。 彼女は決して王には向いていないが、こうして肌を重ねて初めてわかった。 妻として、そしておそらく母として、これ以上に素晴らしい女性は居ないのではないだろうかと。 そこまで考え、ワルドは自らの様を振り返り苦笑する。 「何と、これではまるで私が恋をしているようではないか」 それが真実なのか否か、ワルドならば答えを出すのも容易かろうが、もう少しだけ、考えずに置こうと決めたのだった。 ウェールズは正装に身を包み、落ち着かない様子で控え室に向かう。 最初に一目見ておけば動揺してしまう事も無かろうと、その部屋の扉を開く。 ちょうど中に居た女性が外に出ようと扉に手をかけた所であった。 彼女は真っ白なドレスを身に纏っていた。 胸元が大胆に抉れているのは、豊満な胸を持つ彼女の美しさをより際立たせてくれる。 そしてきゅっとしまったウェスト回りは、白のレースがぐるっと一周しており、 大人びた雰囲気の中にも初々しさを残すよう花の柄があしらってある。 その下は大きく膨らんだスカートだ。半透明なレースと、真っ白な生地が交互に折り重なっており、 幾重にも重ねた生地は相互に柄を引き立てあい、奥深い造りになっている。 「マチルダ? 一体何を……」 部屋の中から女中の悲痛な声が聞こえてくる。 「ああっ陛下、良い所に。どうかマチルダ様をお止め下さい」 事情のわからぬウェールズに、マチルダはドレス姿のままぴっと指を突きつける。 「ウェールズ、貴方言ったわよね。結婚しても仕事は続けていいって」 「あ、ああ確かに言ったが……」 「じゃあそうするわ。風石相場の値崩れが始ってる。 まーたしょうこりもなくあんの性悪ワルドが仕掛けて来てるのよ。今すぐ対応しないと……」 「ちょ、ちょっと待て! これから式だというのに何を言ってるんだ! 列席者は随分前から待っているんだぞ!」 「そんなの待たせておけばいいわよ! どーせ酒飲んで騒ぎに来ただけでしょうに」 「ば、馬鹿言うな! 仮にも国王の結婚式がそんな適当で済むはずが無いだろう!」 「そんな事どうでもいいわよ。それよりすぐに対応しないとまた派手に損失被る事に……」 そこまで言ってマチルダは口を紡ぐ。 扉の辺り、ウェールズの居る更に後ろからただならぬ瘴気が漂って来ている。 「へ~~~い~~~か~~~、ま~~~ち~~~る~~~だ~~~」 憤怒の表情で姿を現したのは、マチルダ、ウェールズ共通の友、アニエスであった。 「げっ! アニエス! いえね、違うのよこれは……」 「ま、待てアニエス! まずは落ち着け、これは所謂あれだ、まりっじぶるーとでもいうかだな……」 二人が揃って言い訳を始めるが、直後の一喝でぴしゃりと黙る。 「やかましい! お前達にわかるか! ようやく! そうさんざ苦労に苦労を重ねてようやく辿り着いた晴れの日に! やっと私も肩の荷が降ろせると一息ついたその息も出し切らぬ間に! これで私もようやく恋人との時間を、将来を考えられると安心した矢先に! こんな所で無様にケンカしてる二人を見た私の気持ちがわかるかああああああああ!」 二人が自分の気持ちに気付き、お互いの気持ちに気付き、自分の気持ちに素直になれるまで。 その全てを延々フォローし続けてきたアニエスは、あまりの情けなさに涙すら浮かべているではないか。 二人共、めっちゃくちゃアニエスに世話になった自覚はある。 というかアニエスが居なければこの日は絶対に来なかったと確信出来る。 その立場とアンリエッタへの未練から、自らの想いにすら気付けなかったウェールズ。 アルビオンの王族!? 親の仇じゃ死にさらせボケええええええええええ! なマチルダ。 この二人をくっつけるのにアニエスが払った労苦は並大抵のものではなかっただろう。 「すまんアニエス! ほらっ! もう大丈夫だ! 私達はふぉーえばー仲良しだぞ!」 「そうよそうよ! もー目に毒すぎて逃げ出すぐらいラブラブなんだから!」 速攻で肩を組んでにこやかスマイルを見せる二人。 それで一応は納得したのか矛先を収めるアニエス。 「……頼みますよ陛下。皆様もうお待ちなんですから…… マチルダもだぞ! 馬鹿なわがまま言ってないでさっさと行け!」 はいっと元気良く返事をし、二人は並んで式場へと向かう。 ウェールズは隣を歩く、これから妻になる人を見下ろす。 昨晩は「本当に私でいいの?」と不安気に震えていたというのに、夜が空ければすぐこれである。 よくもまあこんなの妻にもらう気になったもんだが、ウェールズにとっては彼女以外考えられなかったのだ。 出自の定かならぬ女性である。嵐のような反発を押し切っての式となった。 ウェールズは既にマチルダから王家との因縁を聞いていたので、逆に出自を明らかにする事も出来なかったのだ。 国家再生の只中、何代にも渡ってアルビオンを支えてきた貴族達は、 そのほとんどが様々な形でアルビオンを去って行った。 最早新たに国を作るのと大差ない労苦を共にしてきた彼女。 今アルビオンに必要なのは血筋ではなく、アルビオンの屋台骨となりうる強い女性でなくてはならない。 と、説得して何とか式にこぎつけたが、ウェールズにとってはまあ、それは言い訳の一つ程度の認識でしかない。 どんな逆境にあっても、逆に平穏な日々の中でも、いつでも必死になって駆け回り、 きらきらと輝いて見える彼女が、愛おしくてたまらないだけなのだから。 「さあ、行こうか」 廊下の終わり、光に満ちた場所へとマチルダを誘うと、少し照れながら、マチルダはウェールズの手を取った。 黙ってやられるだけは性に合わぬ、 踏み込んで一人でも多く道ずれにしちゃるとばかりに飛び込もうとするキュルケとタバサを、ルイズが止める。 「何よ? 何か言い残した事でもあんの?」 「心残りなんて、ギーシュとモンモランシーの式ぐらいだと思うけど……」 「……いや、ね。ずっと前から考えてた事なんだけど……」 珍しく自信無さそうな口ぶりでルイズは話し始めた。 「ほら、使い魔召喚のゲートってあるじゃない。あれってさ、向こうから来るのはいいとして、 ゲートって言うぐらいだし、こっちからは行けないのかしら?」 通常使い魔召喚の儀式で発生するゲートは、ハルケギニアの獣が呼び出される事から、 ハルケギニアの何処かしらに繋がっていると考えられている。 燦を故郷に帰した時、使い魔である燦と何かが切れた感覚があったとルイズは言っていた。 使い魔の契約が途切れるのは使い魔が死亡した時のみであるが、 存在を感知出来ぬ場所に行った故、死亡したと認識されたのだろう。 以後新たな使い魔を召喚しなかったルイズは、これを移動手段として使えないかと言っているのだが、 そんな利便性の高い魔法であるのなら、今まで誰も確認していないというのはおかしい話である。 案の定タバサは幾つかの事例を聞き知っていた。 「召喚が目的であるし、ゲートにはこちら側に引き寄せる力が働いている」 ルイズも調べてあったのだろう、すぐに反論する。 「だからさ、その引き寄せる力以上の勢いでゲートに突っ込めば、向こうまで突き抜けられるんじゃないかなって」 むむぅと頭を捻るタバサだが、すぐに首を横に振る。 「でもダメ。ゲートの先がどうなってるかわからないし、使い魔は大抵危険な場所に生息している。 火山の中や空の上に繋がっててもおかしくはない」 「うん、でも召喚する相手が人間だったならどう? それなら周辺の安全はほぼ確保されてると思わない?」 キュルケはルイズが考えていた事をようやく察する。 「……つまり、実験してみようって事よね。サンに繋がるかどうかもわからないけど、 死ぬしかない今なら、うまくいけば儲けものって事でしょ」 にまーっと笑うルイズ。 タバサはやはり苦々しそうな顔のままだ。 「戻ってくる手段は存在しないかもしれない」 「死ぬよかマシよ。それに、どうせ賭けるなら夢のある未来に賭けたいじゃない」 森の奥の方で微かに動く気配がした。 タバサは即座にプランを立てる。 「ルイズはゲートの維持、私が風で三人を覆う。キュルケは魔法で私達を吹っ飛ばして」 「了解!」 「そうこなくっちゃ!」 ルイズが懐かしき召喚魔法を唱え、タバサが風の守りを用意し、キュルケはありったけの魔力を込め、炎の魔法を放った。 満潮家は何時もの喧騒に包まれていた。 今日は何故か都合が合い、瀬戸組の面々がぞろぞろと満潮家に揃ってしまったのだ。 燦の父豪三郎は、娘を奪った憎き男、満潮永澄に憎憎しげな視線を送るが、燦の手前なので一応我慢はしている。 永澄の父、母、そして許婚としてこの家にやっかいになっている燦、 その付き人であり小人のように小さい蒔が共にこの家に住んでいる。 更に今日は瀬戸組の瀬戸豪三郎、妻の蓮、若頭の政が一緒に来ている。 豪三郎は酒をかっくらいながら吼える。 「大体、三年前に政がこのボーフラ助けんかったら良かったんじゃ! 何でその時きっちりトドメ刺しとかんかったんじゃ!」 「……燦ちゃんのお父さん、当人前にそーいう事言うのはどうかと思うんだ……」 「すいやせんおやっさん。 しかしまさかその三年後にまた永澄さんが同じ場所で溺れるなんて思いもしなかったもんで……」 馬鹿丁寧に謝る政に、酒の勢いか普段の鬱憤か、豪三郎は更に八つ当たりする。 「そもそも燦に結婚はまだ早い! というか後一年でこんボーフラぁ結婚出来るようになってしまうやないか! 早よぶち殺しとかんと取り返しのつかん事になってまうで!」 「……一年後て、僕まだ高校生なんですが……」 「もう、お父ちゃんお酒はそのぐらいにしてっ! 永澄さん困ってる!」 最近は永澄の両親も慣れたもので、豪三郎の罵声にもにこにこと笑っているだけである。 「……二人共両親の責任きちっと果たそうよ……」 さっきから延々永澄がつっこんでいるのだが、誰もがガンスルーである。 全てから逃げたくなって永澄は天井を見上げる。 何故か、そこに真っ黒い楕円があった。 「うっひゃー!」 「ぎゃーー!」 「っ!」 三様の悲鳴と共に、天から女の子達が降って来た。 一同が静まり返る中、痛たたと顔を上げたルイズは、すぐそこに、懐かしいあの顔を見つけた。 「久しぶりねサン、元気だった」 三人の物語は、まだまだ終わってはいないようだ。 ゼロの花嫁 完 前ページゼロの花嫁
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召喚によって現れた目の前のものに、ルイズだけでなく、目撃した者全員が、一瞬固まった。 召喚した張本人である、ルイズの頭の中を巡る、様々な言葉。困惑、恥、怒り、焦燥。それらを一まとめにしても、 この一言以上にはならない。 なんで!?なんでこんなのが!? そう、ルイズが召喚した使い魔。それはどう見ても、自分より2,3年上程度の、瞳に弱気な光を宿らせた男だった。 「…あのー……」 目の前の男から言葉が発せられる。それは全員の精神的な硬直を解かせるのには効果的だった。 「何で僕、こんなとこにいるんでしょうか?」 途端に湧き上がる、周囲の生徒達からの笑い声。それを全身に浴びたルイズの顔が、たっぷりの湯で茹でられたように 真っ赤になるのには、数秒とかからなかった。 「あ、あたしが召喚したからよ!!大体なんであんたみたいのが出てくるのよ!!?」 「え、あの、そんなの僕に言われても、いったいなにがなんだか…」 「うるさい!黙ってなさいよ!あーもうこんな大失敗して、どうしてくれんのよ!!」 「なに言ってんだよ!『ゼロのルイズ』が失敗するのはいつものことじゃないか」 「そうそう」 「うるさいって言ってんでしょ!!」 また上がる笑い声。自分の支離滅裂な発言を考える事も忘れて、 ルイズは真っ赤な顔に失敗の悔し涙をにじませながら、教師のコルベールに向き合った。 「先生!再挑戦させてください!いくらなんでもこんな平民、あんまりです!」 「それはなりません。平民を召喚するなど、珍しいことではありますが、大事な儀式にやり直しなどはありません」 「でもこんな、情けなさそうで、しょぼくれてて、おどおどしてる平民!こんなの使い魔になんてしたくありません!」 『うるせえガキだなぁ』 またしても全員が硬直し、声のした方向を見た。その声を発した本人、たった今ルイズに召喚された青年は、 自分でも自分の発言が信じられないような、驚いた顔で、口を両手で塞ぎ、自分の胸元を見ていた。 「だ、だれがうるさいガキですってぇ!?」 「あ、いや、その、今のは僕だけど僕じゃないっていうか、ていうかちょっと待ってて」 「一体何を待てっていうのよ!?ほんっとあったまきた!!」 「だからちょっと待っててくださいって!モモタロス、ほんと今出るのはやめて!」 モモタロス?出るのはやめて? まるで自分以外の、いもしない誰かに話しかけるような青年の仕草に戸惑っていると、男はまるで何かに衝突したように吹き飛んだ。 いや、吹き飛んだような動きを見せた次の瞬間、男はバランスを立て直し、顔を上げた。 まるで別人のような、ぎらぎらとした、獣のような光を瞳に宿らせて。 「俺、参上!!」 「……え?」 ルイズが目の前の青年の変貌に驚いていると、いきなりルイズは両の頬を、青年につままれていた。 「い、いひゃいいひゃい!やめれれれ!」 「さっきから聞いてりゃグダグダグダグダ、良太郎をコケにしやがってよぉ。あったまきた?あったまきてんのはこっちだってんだ! 俺の堪忍袋の緒ってやつもてめーが目の前に出てきてからクライマックスに切れっ放しなんだよ!!」 いまいち文章としてまとまってない怒りの言葉を放つ青年。周囲の人間は今日何回目か分からない硬直に見舞われていたが、 やっと目の前の状況を理解したコルベールが、青年に向かって声を張り上げる。 「き、君!ちょ、ちょっと待ちなさい!」 「あん?」 コルベールの、わずかに上ずった声に反応して、青年はルイズの頬から手を離し、コルベールに向かって歩きはじめた。 青年はコルベールに向かってガンをくれている。召喚直後の、おどおどとした目つきとはまるで別人だ。 コルベールは、青年に対しどう対処すればいいか、冷静になるよう自分に言い聞かせながら、必死に考える。 「き、君。まず少し落ち着いて、だね。私たちの話を」 「必殺」 「え?」 「俺の必殺技パァァァト4!」 飛んだ。コルベールが、である。 青年のアッパーを受けて、十数メートルほど美しい放物線を描き、コルベールは気絶して倒れた。 「よぉし、これでお仕置きタイム続行だ。……あん?あのなあ良太郎、お前は甘すぎるんだよ! こういうガキンチョはだな、一発きっつーいお仕置きを食らわせてだな!」 青年がまた、何かがあるように話しかける。ルイズは何がなにやらわからないまま、少しも動かず放心状態になっていた。 「だからよ!大丈夫だって!俺だってちゃんと考えてんだからよ!俺に任せとけって!」 『いやいや、そういうわけにもいかないでしょ』 青年の口から、さっきまでとは違う、とても穏やかな声がもれた瞬間、また青年は吹き飛んだ。 「まったく、女性の扱いを知らない人って、ほんっとやだよね」 優しい声と共に顔を上げた青年は、声と同様、さっきまでとは違って、優しくアルカイック・スマイルを浮かべていた。 どこから出したのか、眼鏡までかけている。 青年はぐったりしたままのルイズに近寄ると、頬にゆっくりと手を当てた。 「ほんとごめんよ。さっきも言ったけど、先輩って女性の扱いを知らないからさ」 「……あ、あんた、一体、なんなのよ」 「いやいや、こっちにもふかーい事情があってね。あーあー、女の子に涙まで流させて」 『涙?』 「え?」 青年の呟きに、青年とルイズが同時に疑問符を上げる。青年もまた、自分の発した声に驚いている。 つまり。 『涙…泣いて涙…』 「え、いや、ちょっと待って、僕の出番こんだけ!?」 『泣けるでぇ!!』 叫びとともにまたしても吹き飛ぶ青年。次の瞬間見た顔には眼鏡はなかった。 「誰が涙を流しとるんやぁ!?悲し涙なんぞ、わいが嬉し涙に変えたるでぇ!」 骨太な声で明るく叫ぶ青年。ルイズは這って逃げようとするが、その前に青年に捕まった。 骨がきしむほどの力で肩をつかんで持ち上げられ、ルイズは青年と真正面から向き合う形になった。 ふと、目を動かして周囲を見ると、みんな状況が理解できていないまま、硬直している。 ええい、誰か助けてくれてもいいでしょ、この薄情ものども。 思わず心の中でうなるが、それも届くはずもない。 「お前か!?なんぞ悲しいことでもあったんか!?そんならわいにまかせとけ!俺の強さは泣けるでぇ!」 「だから!あんたがわけわかんないことばっかやってるからみんな困ってるんでしょ!」 「おう?わいはさっき起きたばっかやからな、なんがあったんか説明してくれや」 「こんだけやって説明しろってどういうことよ!あんたホントーに最低ね!!」 『あん!?誰が最低だと!?』 粗暴な声とともに青年が吹っ飛ぶ。そして現れた顔は、またしても先ほどの暴力的な青年だ。 「人のことコケにしといてどの口が最低だっつーんだ!?あぁ!?」 『あーもう、ここは任せてくんない?』 優しげな声とともにまた吹っ飛ぶ。 『お前らなんぞにまかせとられんわ!わいがやる!』 骨太な声とともにまた吹っ飛ぶ。 『だから女性の扱いはこの僕が』 『亀公の出番じゃねえ!ここはあいつにきっちりと礼儀ってもんをだな』 『お前らが出とったらややこしくなるわ!』 吹っ飛ぶ。吹っ飛ぶ。また吹っ飛ぶ。その様はまるで笑えない一人芝居だ。どこの町にも、こんな大道芸人はいないだろうが。 そしてその一人芝居が十数秒ほど続いた後、青年は糸が切れた人形のように、ばったりと倒れた。 「え?ちょ、ちょっと!」 ルイズが思わず駆け寄る。なんせ一応とはいえ(非常に不本意だが)自分の使い魔となるものだ。なにかあっては困る。 いや、むしろ何かあってくれたほうが嬉しいかも知れないが。 そんなルイズの思いを知る由もなく、青年はゆっくりと呼吸している。単に気絶しただけらしかった。 「使い魔……あたしの使い魔……」 優雅で、華麗で、強くて、品のある使い魔。自分が欲しかったのは、そんな理想の使い魔。 「どうしてこうなるのよぉぉぉぉぉ!?」 ルイズの絶叫に、答えるものは誰もいなかった。
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(やっぱりやりすぎだったかしら…) ルイズは己の使い魔を見て考える。 食堂から出てきたあとから、ずっと元気がない『平民』 …パンナコッタ・フーゴのことを。 教室の床に座り込み、膝を抱えて譫言を呟いているばかり…。 あの食事は『主人』と『使い魔』の違いを理解させるために 用意させたのだが、それが予想以上に効いてしまっているようだった。 粗末な食事。当然不満がでてくるだろうが、そこに寛大な主人が 施しを分け与え、主従関係を強固なものにするという計画だったのだが…。 まさかあれを我慢できるだなんて誰が想像できるだろうか!? (何とかしないといけない!…のかな?) ルイズは少々複雑な感情を抱いた…。 『紫霞の使い魔』 第四話 【そいつの名は『ゼロ』】 「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね」 中年の女教師 ミセス・シュヴルーズは教室を見回すと、満足そうに微笑んだ。 視線の先にはサラマンダー、バグベアー、スキュア、カラス、大ヘビ、フクロウ、 人食いリス、カタツムリの殻を背負った犬、レザーブーツを履いた猫、 耳が ケンカか なにかで 虫に喰われた葉のように 欠けている ネズミ 服が 趣味か なにかで 虫に喰われた葉のように 穴だらけの 人間。 ………人間? 「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」 シュヴルーズがとぼけた声で言うと、教室は笑いの渦となった。 「ゼロのルイズ!召還できないからってその辺歩いてた露出狂連れてくるなよ!」 小太りの少年がガラガラ声を張り上げて嘲りの言葉を浴びせる。 「違うわ!きちんと召喚したもの!こいつが来ちゃっただけよ!」 ルイズが立ち上がり、『床のモノ』を指さして反論する。 当の本人は、 「ぼくのは違う…ぼくのはファッションなのに……」 別方面の中傷に対して傷つく。もはや怒る気力もないようだ。 「嘘つけ!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?ゼロのルイズ!」 「なんですって!わたしを侮辱するの!?かぜっぴきのマルコルヌ!!」 「ぼくは風上のマルコルヌだ!かぜっぴきじゃないぞ!記憶力もゼロなのか!」 「あんたなんか『かぜっぴき』で充分よ!喋らないで!風邪が移るから!」 売り言葉に買い言葉…。二人とも段々ヒートアップしてきたようだ。 「ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロ!!!」 「風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪風邪!!!」 いつまでも続くかのように思われたケンカだが、所詮 人生は有限である。 フーゴがルイズのマントを(力なく)引っ張って、椅子に座らせ シュヴルーズがマルコルヌと一部の生徒に粘土を食べさせることで 子供じみた不毛な争いは終結した。 「どんな理由があろうとも、お友達の悪口をいってはなりません。 それでは授業を始めます」 「──このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係して───」 (コイツ随分元気になってるじゃない…) 床にいる自分の使い魔を横目で見て、ルイズは思った。 そう、フーゴはさっきの落ち込んだ様子から一変していた。 こう見えても彼の最終学歴は『中学中退』。 大体必要なことは独学で勉強したが、やはりまだまだ学びたい年頃である! それが初めて聞く事柄なら尚更だ。 窮屈な空間ではあるが、聞いた授業の内容を手帳に書き記している。 最も、書いている文字(?)はルイズにはまったく読めないが…。 それよりも まず、彼に授業内容が理解できているのだろうか? (ま、どうせメモを取ったところで無駄だけどね~) そもそも、魔法が使えるのは貴族のみ。 『平民』であるコイツが勉強したところで できるわけ… そう考えていたルイズの顔が曇り、 不意にトラウマが甦ってきた… 手が止まる。思考が止まる。時が止まる。 {{わたしは?わたしはどうなの?わたしは…}} 息が詰まる。胸が詰まる。言葉が詰まる。 {{わたしにそんなことを言える資格が…?}} 「どうかしたんですか?」 『使い魔』に声をかけられ、時が動き出した。 「大丈夫よ。なんでもないわ」 気丈に振る舞うルイズだったが、その顔色は冴えない。 「本当ですか?何処か悪いのなら…」 「そこ!授業中の私語は慎みなさい!」 中年女教師からの叱責が飛ぶ! 「「す、すみません!」」 見事にハモった。 「そうですね…それだけの余裕があるのでしたら 貴女に この『石』を『錬金』してもらいましょう。ミス・ヴァリエール」 その瞬間!鼓膜が劈くようなブーイングの嵐が巻き起こった! 「先生!『ゼロのルイズ』にやらせるなんて危険です!」 「『ゼロのルイズ』にやらせたら『終わり』って恐怖だけがあるんだよーッ!」 「おまえならできるッ!やれーッ!やるんだーッ!ルイズゥ!」 青ざめた顔で応援するヤツもいるが口の中に何かが見えた。あれも使い魔か? ハッキリ言って、フーゴには皆が何を恐れているのか解らなかった。 わかるのは彼女のあだ名が『ゼロのルイズ』だということぐらい…。 しかし、『危険』というのは一体? ルイズは少しうつむいたが、立ち上がり叫んだ! 「やります!わたし やります!」 教室に響く リンとした声。そして 絶望と落胆の声…。 されど 彼女の決心は変わらず、緊張しながらも教室の前に進んでいった フーゴの目にはその姿がとても凛々しく思えた。 そうだ。せっかく『主人』が魔法を使うのだからぼくも見て── (何コレ…?) 立ち上がったフーゴとは対称的に生徒達は全員机の下に潜り込んでいた。 二重の意味で、授業を受ける姿勢ではない。異常である。 「そんなところで何してるんですか?」 とりあえず一番近くにいた生徒に聞いてみるが… 「いいからお前も伏せろ!危ないぞ!」 …『危ない』?? 「えっ?それはどういう意…」 とりあえず言われたままに しゃがむと…! ドッッグオオオォォォォォォンンンン ギャグマンガでしか見たことがなかったような大爆発! 屈んでいたフーゴの頭を爆風がよぎった! 木片が飛び!窓ガラスが割れ!使い魔たちが暴れ出す! 「なっ!『石』が…いきなり爆発したぞ!?」 突然起きた出来事に対応し切れてないフーゴ。 まさか!?『ゼロのルイズ』というのは…!? 話していた生徒が忌々しげに口を開いた…。 「近づくなよ……『ゼロのルイズ』が『魔法』を使うとき 何者も そばにいてはならない……」 立ちこめていた爆煙がはれ、中から煤だらけになったルイズが現れた。 服はビリビリ、机はボロボロ、教師はピクリとも動いていない…。 そんな悲惨な状況を見まわした彼女の一言。 「ちょっと失敗したみたいね」 コレだけの惨事を引き起こしておいてそれはないだろう…。 いつも魔法が失敗するから『ゼロのルイズ』。 フーゴは そのあだ名の意味をようやく理解した。 そして…朧気ではあるが、自分が彼女に『召喚』された理由も…。 周りのもの全てを巻き込み、破壊尽くしておきながら 自分自身『だけは』何事もなかったかのように君臨する。 その姿は… ───彼女の可愛らしさとは縁遠いはずなのだが─── 忌まわしいほど醜い『アイツ』と重なって映った。 フーゴは痛み出した頭を押さえ、静かに呟いた…。 「…なんてこった……!」 To Be Continued…
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ゼロの軌跡風と雲と冒険と… (抜粋) アルタイルが逮捕され、バックドラフト団は壊滅した。 操縦席のパネルにセットするビット ビット「いい風だ…。冒険もいいかもしれないな…な、ライガー!」 (終)
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【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 OP 【曲名】I SAY YES 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 ED 【曲名】スキ?キライ!?スキ!!! 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD1 ルイズ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD2 アンリエッタ 【歌手】アンリエッタ(CV 川澄綾子) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD3 シエスタ 【歌手】シエスタ(CV 堀江由衣) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD4 エレオノール カトレア 【歌手】エレオノール(CV 井上喜久子) カトレア(CV 山川琴美) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【詳細】各キャラクターCDは1曲のみ収録
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前ページ次ページゼロの使い魔人 …時に西暦2004年12月24日深夜。 日本国東京都、新宿区私立天香學園高等學校…の地下深く。 「うおおぉぉぉぉっ!!」 一瞬前迄、自分の身体があった所へ一抱え程もある岩塊が落下し、砕け散る。 止む事無く聴覚を独占する、不気味な地鳴りと不快な振動音。 頭上より落ち続ける土くれと埃の量は増す一方。 そんな修羅場の直中を、振り返らず、足を止めず只駆け抜ける人影……。 何故、彼はそんな状況に陥ったのか……。 ――遥か昔。この地には、今は失われた文化と技術に支えられた文明が存在った。 それを神の力だのと思い上がった者達は、驕慢極まる振舞いの結果、自分自身すら制御の 出来ない存在を生み出し、処置に困った挙句、そいつを『臭い物には蓋を』の如く、地下深くに閉じ込め 『無かった事』にし、事態の収拾を謀り、それは上手くいったものと信じ込んだ。 …が、閉じ込められた方はそれで収まる訳も無く。千数百年に渡って憎悪と執念を抱き、 地上へと這い上がる日々を待ち、奥底にて密かに確実に蠢き続けていた。 刻に浸蝕され、かつては堅牢無比を誇った封印も衰え、至る所で綻び、歪みが生じつつあり、 仮に何も無かったとしても、遠からず封印は力尽きていただろうが、何よりもそれを助長したのは、 外部より訪れた一人の男だった。 巨大な墳墓といえる遺跡を探索し、そこに眠りし失われた叡智を探り、手にせんとする若き探求者。 人呼んで、トレジャーハンター…。 その一方で、彼はそこかしこに漂い、縛られていた過去の魂と念を払い、開放していった戦いの果てに。 遂に青年は、眠りより目醒めた遺跡の主であり、太古の荒ぶる神になぞらえた存在と対峙した。 一つ間違えばヒトの世の存亡にも関わる、語られる事無き熾烈な戦いは青年の勝利で終わり、 遺跡に封じられし存在は、積年の苦痛と妄念から開放されると共に、二度と醒める事無き眠りに付いた。 それと同時に、永い永い「役目」を終えた遺跡は崩壊を始め、青年は地上へ向けて懸命に脱出を計っていたのだった。 前方の地面に亀裂が走り、瞬く間にクレバスと化す。 勢いを落とさず跳躍し、一息に飛び越えて着地。走る。 壊れた扉を蹴破り、眼前に落ちる岩を避け、陥没を乗り越え、急激に盛り上がった地面に取り付き、身を押し上げる。 そんな、命賭けの障害物競走に最高の真剣さで挑み続ける彼の目に、地上へと繋がる 命綱が在る場所へ通じる扉が映ったその瞬間。 目と鼻の先に、鏡に似た光彩を放つモノリス状の物体が出現した。 (っ、な……!!) 衝突を避けようと、全力でブレーキを掛けるも間に合う距離でもなければ、咄嗟に左右へと跳び退く暇も無い。 彼の身体はその光の壁に触れた瞬間、見えざるロープに絡み捕られたかの様に、強引に引き摺り込まれた。 ――その光の壁の中は、まるで万華鏡の中の様だった。 ありとあらゆる色が入り交じり、瞬き、消えて、照らしつけて視界を蹂躙する一方、洗濯機に入れられた 衣類の様に、彼の身体を持ち上げ、落とし、回転させて、いいように意識と平衡感覚を翻弄する。 (な、何が、一体、どうなっ、ている、んだ………っ!!) そんな人間の三半規管の限界を試す、耐久力テストじみた光景と状況下にありながら、彼はそれ迄背負っていた背嚢とその 中身を放さぬ様に抱え込んでいたが、耳道へと流れ聴こえて来るモノが在った。 『――告げる! 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール! 遍く宇宙のどこかにいる、我が従僕よ! 強く、美しく、そして生命力溢れる存在よ! 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応え、その姿を顕し給え!!』 (く、う…! だ、誰だ、この、声は…!? お、れを、一体、何処、へ……!) 意識を繋ぎ止めるのも、限界に達した。視界が真っ白に漂白される間際、 彼自身が飛び込んだ鏡じみた物体が、再度眼前に現れるのを見取ったのだった……。 ――彼の背負いし宿星か、はたまた悪魔の悪戯か。二度に渡り、東京とヒトの世の安寧を護った青年は、 今また新たなる戦いへとその身を投じる。 ――その名は、ハルケギニア。 剣と魔法、人とヒトならざるモノ達が生きる、「極めて近く、限り無く遠い世界」へと。 ――ゼロの使い魔人、序章。 前ページ次ページゼロの使い魔人
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前ページ次ページゼロの軌跡 第十話 蝕、繋がる世界 「ヴァリエール様、レンちゃん。ようこそ、タルブ村へ!」 「久しぶり、シエスタ。元気そうで嬉しいわ」 「紅茶とデザートが楽しみで飛んできたのよ」 「今日は村を挙げて歓迎しますから。覚悟しておいてくださいね」 タルブ村に着いたルイズとレンはシエスタの歓迎を受けた。 覚悟?と首を捻る二人だったが、それを問う間もなく腕を引かれ彼女の家へと押し込まれる。村人の歓声が、二人の後ろで閉じた扉をこじ開けんばかりに揺るがした。 「来たぞ、われら平民の救世主!」 「ミス・ヴァリエール!気高くも偉大な公爵令嬢!」 「ミス・レン!可愛らしくも異才の天才戦士!」 「新しい貴族。平民を守る女神の来訪だ!」 「村の人達に一体何て伝えたのよ、シエスタ」 「いえ、私のせいだけではないんですよ。だけ、では…」 恰幅のよい女性がいきなり抱きついてくるのをかわすことも出来ず、ルイズは右腕にレンは左腕にそれぞれかき抱かれた。二人よりも遥かに豊満な胸。濃厚な木と草の香りが立ち込める。 ひとしきり揉みくちゃにされながらもどうにか解放されたルイズとレンの周りにはたちまち人垣が出来る。口々に褒め称える村人への対応に苦慮しながら、後でシエスタを問い詰めようと固く決意する二人だった。 遠いところを旅されてお疲れだから、とシエスタのとりなしの甲斐あってかやっと落ち着くことの出来たルイズとレン。客間へとあがり、淹れてもらったお茶を飲みながら話を聞くことにした。 「で、シエスタ。どんな英雄譚を村中にばら撒いたのかしら?レンは何匹のドラゴン相手に大立ち回りをやってのけたことになってるの?」 「そんな人聞きの悪いことを言わないで、レンちゃん。あの、ルイズ様もそんな目で見ないでください。 ありのままを話しただけですよ。他の貴族が徒党を組む中で彼らに喧嘩を売って、平民の私を助けてくれたんだって」 悪びれずに答えるシエスタ。思わず頭を抱えるルイズ。一人優雅にカップを傾けるレン。 「それにしたってあの熱狂振りはねぇ…。なんでも私は気高くて偉大な公爵令嬢らしいじゃない」 「レンは天才戦士なんですって。まあ間違いじゃないけどね」 「そうですよ、ルイズ様ももっと堂々と振舞ってください」 ゼロであることを認めたとはいえ、ルイズから劣等感が完全に払拭されたわけでは無論なかった。 最後まで一人で彼らに立ち向かえたのならばまだしも、レンに助けてもらったと認めているルイズは素直にその賛辞を受けることが出来なかった。しかも、肝心の決闘は全てレン一人の実力ではないか。 そう考えるとやはり自分はその賞賛に値しない。ルイズは懊悩する。 結果、行き場のない戸惑いは糾弾にその姿を変えて矛先をシエスタに向けた。 「それだけでああも歓迎されるとは思えないけど。大方、覚えのない善行を二、三十創りあげたでしょう。今なら正直に話せば許してあげるわよ」 「そんなことしてないですって。本当ですよ。ヴァリエール様。 もう一つの理由は、あれです。ヴァリエール様とレンちゃんが町や村を周って平民の力になってるっていうじゃないですか。その話を何人もの旅の方が触れ回ってるらしくて。うちの村にも来て熱く語っていましたよ」 その答えにルイズは目を見開き、レンはカップを持つ手を止めた。 二人ともそこまで評判になることをやっていたという自覚はなかったのだ。 メイジではなくとも立派な貴族としての、その自らの修行の一環としてそれを行っていたのだし、 レンはといえばその理由の多くを、帰還の手がかりを探すことが占めていた。無論のこと、ルイズとの旅は楽しかったし、行く先々で感謝されるのには確かに喜びを感じてはいたが。 「あのね、シエスタ。私別にそんなつもりでいたわけじゃ…」 「なら更に素晴らしいじゃないですか!意図しての人気取りでなく、その自らの望む姿にかくあろうとした、無為から生まれた行為だなんて。流石はヴァリエール様です。これはみんなに伝えないと!」 「…もう何を言っても駄目みたいよ、ルイズ」 早速新たなルイズ伝を広めようと立ち上がったシエスタを押し留める。 尾ひれ背びれをつけないよう厳重に釘を刺し、給仕のために下に降りていくシエスタを見送る二人。 「大丈夫かしら…」 「レンはシエスタが大騒ぎする方にナサロークの皮三枚賭けるわ」 「私も同じ方にペレグリンの羽五枚」 賭けにならないじゃない、とレンが口を尖らせた時、階下の拍手と喝采が床を震わせた。 「なんていうか…」 「良くも悪くも田舎よねぇ…」 夕食までの時間を釣りや散策でのんびり過ごしたルイズとレンを待っていたのは、シエスタが腕によりをかけた料理だった。 ヨシェナヴェという奇妙な語感のそれは名前と同じく二人の舌には馴染みのないものであったが、美食を食べなれているルイズをも存分に満足させた。 が、久方ぶりの村の宴がそのまま大人しく終わりを迎えるはずもなく。 「なるほど。覚悟、ね」 思わずレンは一人ごちる。 皿に大盛りにされた具もなくなり鍋の底が見え始めた頃には、場は惨状を呈していた。 周りに赤い顔をしていない人間は一人もいないし、既に足元には酔いつぶれた男たちで立錐の余地もない。 誰も彼もが相手を選ばずに踊り狂い、歓声と嬌声は途切れずに広間を飛び交う。誰かが歌を口ずさめばたちまちソロはデュエットになり、コーラスへとその場の人間を巻き込み広がっていく。 主人も客も上座も下座も貴族も平民もなく手を鳴らし足を打ちつけ、笑顔で開かれた口は決して閉じることはない。 その喧騒の中でも一際大きく響くのはグラスが打ち鳴らされる音。乾杯の声は一瞬たりとも途切れてはいなかった。 レンは年齢を理由に差し出される酒を断ることも出来たが、ルイズはそうもいかず。一杯飲み干せば二杯の酒が、二杯を空にすれば五杯のグラスが、息つく暇もなく更に多くのワインが注がれた。 シエスタにいたっては完全に出来上がって、先ほどから少佐もかくやという演説をぶちかましていた。 「私はレンちゃんが好きだ。私はレンちゃんが好きだ。私はレンちゃんが大好きだ」 酒と料理で熱く火照ったレンの身を貫く悪寒、首に冷たく氷の柱。夜のシエスタには気をつけろと囁く本能に従い、倒れる寸前のルイズを引き摺って外に出る。 その背中に突き刺さる、シエスタの恐ろしいまでにうららかな宣誓。 「我が家の名物特製ヤムィナヴェ、行きますよー!」 魔女の釜はまだまだその蓋を開けたばかりのようだった。 「有難う、レン。助かったわ」 「ルイズがまたアンロックでも唱えるのはいただけないからよ」 涼しい風が二人を優しく撫でる。回った酒も心地いい冷気に醒めていくようだった。 そういえば数日前にもこうやってレンと歩いたことをルイズは思い出す。 その時はレンが少しだけ、その外見に相応しい少女らしさを垣間見せた気がする。 もしかすると今夜も彼女の話を聞けないだろうか。 「ねぇ、レン」 「なあに、ルイズ」 「その…、元の世界にはやっぱり帰りたいのよね」 直接的に聞くことも躊躇われ、かといって話の接ぎ穂にも困り、ルイズは今まで隠してきた自分の願望交じりの言葉を吐き出してしまう。 今のルイズにとって、レンはかけがえのない親友でもあり盟友でもある。少なくともルイズはそう思っていた。レンがルイズのことをどう思っているかは未だ確たる答えを得てはいなかったが。 これを聞いてしまうと、ルイズは自分の心が覗かれてしまうような気がしていたのだ。 「どうかしらね。よくわからないわ」 返ってきた声は冷静で、以前見せた緩みはなかった。 レンなりに先日の失態を、勿論ルイズは失態などとは思っていないが、気にしているのかもしれなかった。 「トリステインでの暮らしも悪くないし、リベールに戻って何かするわけではないのだけど」 レンの答えはそこで途切れる。 否定で終わったその言葉の続きが気になったが、ルイズにそれを問うことは出来なかった。 会話がとまり、不自然な沈黙から目をそらす様に向けた視線の先。村の外れ、一角だけ不自然に整理された木立がルイズの目を引いた。 そこにまるで祀られているかのように、石碑が置かれていた。 「あれ、なにかしら?タルブ村の守り神か何「…ッ!!」」 ルイズの言葉に視線をそちらに向けた時、レンのつぶらな瞳は大きく見開かれた。 そしてレンはルイズの言葉を聞かずに石碑に向かって走り出した。 間違いない。あれだ、あの石碑だ。 アンカー。アーティファクトによって作られた揺らぐ虚構世界の中で、庭園と星層を繋ぎとめていたそれ。 あれこそが、トリステインを含むこの世界とリベールを含むあちらの世界を結ぶ鎖。 遂に見つけた、元の世界に帰るための通行証。 レンは脇目もふらずに石碑に走り寄る。 「ちょっと、レン。どうしたのよ」 「ティータ、クローゼ。聞こえる?レンはここよ。オリビエ、アガット、ジン。誰か返事をして」 ルイズの声も耳には入らないのか、闇に佇む石碑に向かってレンは必死に呼びかける。 「シェラザード、ミュラー、ユリア、リシャール、ケビン、リース」 それでも石碑は何の反応も見せなかった。 それをわかっていながらも、レンは叫ばずにはいられなかった。 「…エステル!ヨシュア!」 かそけきその祈りが女神に届いたのか、その名前こそに込められていたものがあったのか。 石碑は青い輝きと共に、佇む人影をを映し出した。 中空に描き出されるスクリーンにはエステルとヨシュアの姿があった。 場所はどこかの湖畔だろうか。雲一つない青空の下、釣り糸をたれるエステルと少し離れて火を熾すヨシュア。 しかし、姿は見えども声はせず。届けられるのは映像だけで、魚の跳ねる音はおろか、火の爆ぜる音も二人の声一つすら聞こえてはこなかった。 「あの人がエステル…」 「ねぇ、エステル!こっちを向いて!」 叫べども叫べども、声は辺りの闇に吸い込まれるばかり。 石碑が青い光を失い、次第に朧げになっていくその姿に耐え切れず、遂にレンは悲鳴のように彼女にすがった。 「助けて!レンを助けて!エステルッ!!」 その時、エステルが振り向いた。 無邪気なその顔には驚愕が彩られ、レンに手を伸ばす。 レンもその短い腕を、あらんかぎりに伸べる。 しかし、その手は繋がることなく、石碑が光を失うと同時にエステルとヨシュアの姿も溶けるように消えていった。 伸ばしたその腕を力なく下ろし、レンは膝をついた。 ルイズもまた、言葉もなく立ち尽くすばかりだった。 このままではいけないと、一歩踏み出したルイズにレンは一言、彼女を拒絶した。 「来ないで。…しばらく一人にしておいて」 前ページ次ページゼロの軌跡
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テレ朝系火曜ドラマ マルス-ゼロの革命- 共通事項 基本の放送時間…火曜21 00~21 54 全社絨毯の上にカラー表記 固定スポンサー P G NISSHIN OilliO 日清オイリオ タマガワエーザイ Moisteane 2024年1月23日 ♯1 [新](21 00~22 00) 1’00”…P G 0’30”…RIZAP、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、タマガワエーザイ、Moisteane、佐川急便、COSMO(コスモ石油) 2024年1月30日 ♯2 0’30”…タマガワエーザイ、アサヒビール、Moisteane、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、RIZAP、ニトリ、P G、Family Mart 2024年2月6日 ♯3 0’30”…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、JOYSOUND、Moisteane、ソニー銀行、アサヒビール、P G、タマガワエーザイ、永谷園(PT) 2024年2月13日 ♯4 1’00”…SUNTORY 0’30”…Moisteane、タマガワエーザイ、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、JOYSOUND、COSMO(コスモ石油)、P G 2024年2月20日 ♯5 0’30”…P G、SUNTORY、ニトリ、タマガワエーザイ、ライフネット生命、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Moisteane + AC JAPAN(PT) 2024年2月27日 ♯6 0’30”…ライフネット生命、P G、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Moisteane、Japanet、SUNTORY、タマガワエーザイ、ソニー損保 2024年3月5日 ♯7 0’30”…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Qoo10、P G、SUNTORY、タマガワエーザイ、アサヒビール、SECOM、Moisteane 2024年3月12日 ♯8 1’00”…SUNTORY 0’30”…Moisteane、アサヒビール、P G、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、タマガワエーザイ、アリナミン製薬(PT) 2024年3月19日 ♯9 [終] 1’00”…P G 0’30”…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、タマガワエーザイ、SUNTORY、Moisteane、アサヒビール、アリナミン製薬(PT)
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火9ドラマ マルス-ゼロの革命- 共通事項 放送時間…火曜21 00〜21 54 絨毯の上にカラー表記 固定スポンサー 2024年2月6日火曜日 #3 0'30"…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、JOYSOUND、Moisteane、ソニー銀行、アサヒビール、P G、タマガワエーザイ、永谷園(PT) 2024年2月13日火曜日 #4 1'00"…SUNTORY 0'30"…Moisteane、タマガワエーザイ、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、JOYSOUND、COSMO、P G 2024年2月20日火曜日 #5 0'30"…P G、SUNTORY、ニトリ、タマガワエーザイ、ライフネット生命、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Moisteane+AC JAPAN(PT) 2024年2月27日火曜日 #6 0'30"…ライフネット生命、P G、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Moisteane、Japanet、SUNTORY、タマガワエーザイ、ソニー損保 2024年3月5日火曜日 #7 0'30"…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、Qoo10、P G、SUNTORY、タマガワエーザイ、アサヒビール、SECOM、Moisteane 2024年3月12日火曜日 #8 1'00"…SUNTORY 0'30"…Moisteane、アサヒビール、P G、NISSHIN OilliO 日清オイリオ、タマガワエーザイ、アリナミン製薬(PT) 2024年3月19日火曜日 [終]#9 1'00"…P G 0'30"…NISSHIN OilliO 日清オイリオ、タマガワエーザイ、SUNTORY、Moisteane、アサヒビール、アリナミン製薬(PT)
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前ページ次ページゼロの花嫁 ゼロの花嫁12話「品評会EXステージ」 ルイズが地獄を見た日から、半月程日々が流れた。 真っ白な灰となり、風が吹けば飛び散ってしまいそうな程にか細い存在と成り果てていたルイズも、既に何時もの調子を取り戻している。 宮廷は王位継承で連日大賑わい、ルイズ達の罪状も恩赦で無かった事に。 晴れ晴れした気分になれるはずのそんな日々を、より満ち足りた物にするイベントがルイズ達を待っていた。 「私達に芸を披露しろと?」 ルイズが呆気に取られた顔で問い返すと、コルベールは満面の笑みで頷いた。 「ああ、この間の品評会が特に好評でね、あれを王位継承祭の時に披露して欲しいと宮廷から打診が来たんだ。光栄な事だ、是非頑張ってくれたまえ」 その宮廷を散々騒がせた当人達に頼む事じゃないのでは。とか思ったが口にはしないルイズ。 上位三人、タバサとキュルケとルイズの使い魔を王都特設ステージで披露するという趣旨だ。 派手すぎるイベントはそもそも好まないタバサは無表情のまま、拒否オーラを出している。 キュルケは評価された事自体は嬉しいようで、面倒そうにしつつも悪い気はしてない模様。 そしてルイズ。声をかけてもらったのは嬉しいのだが、宮廷で目立つのはもう避けたいと思っていた矢先であるので、返答に困る。 「色々あったけど、それも含めての依頼だ。気にせず全力で披露してくるといい」 コルベールのそんな勧め言葉に、ルイズ達は頷くしかなかった。 「ふれいむうううううううううう!!」 泡を噴きながらぴくぴくと震える愛する使い魔を抱きかかえながらキュルケが絶叫する。 すぐ隣ではタバサの使い魔シルフィードが、同様に痙攣しながら引っくり返っていた。 ルイズ、キュルケ、タバサの三人はそれぞれの使い魔を伴い早めに会場入りしていた。 引率のコルベールが王室付きの医師を呼んできて、倒れた二体の使い魔の症状を見てもらうと、何らかの薬物中毒であるとの事。 すぐに治療した為大事には至らなかったが、魔法を持ってしても回復には丸一日かかるそうだ。 ひとしきり憤慨した後、さてどうするかとなった。 使い魔抜きでは芸の披露など出来ない。 コルベールは運営委員会に事情の説明をして、今回は出場を見合わせるといった旨の発言をするが、三人は納得しなかった。 あれから更に練習を重ねて練度を上げてきた珠玉の芸である。 何より、これが事故ではなく誰かの故意によって引き起こされた事態であると思われた事が四人を頑なにしていた。 ルイズは額に皺を寄せっぱなしである。 「冗談じゃ無いわ。何処の何方様か知らないけど、そんなに私達の芸が嫌だっていうんなら、絶対にやりきってあげる」 完全に戦闘体勢のキュルケ。 「犯人消し炭に変えるのは後よ。今はステージを成功させて奴の鼻を明かしてやるわ」 タバサもまた薬物の使用が余程気に入らなかったのか、顔に出さず激怒していた。 「……許さない」 誰一人止まってくれそうにない。それ以前にコルベールは剣振り回しながら犯人探しに行こうとする燦を止めるので手一杯である。 コルベール抜きのまま、どうするかの相談は続く。 たまたまその場に居合わせてしまった不幸な王室付き医師も巻き込んで、何とかステージのアイディアは纏まる。 細かい詰めに入る頃にはようやく燦も落ち着いてくれ、コルベールと燦も交えて突貫作業の準備が始った。 「な、何とか間に合ったわね」 肩で息をしながらルイズがそう呟くと、キュルケも壁にもたれかかって荒い息を吐く。 「間に合ったっていうのコレ? いやそれでももう、やるしかないんだけどさ」 「大丈夫よ、きっとウケるとは思うわ。というかこれだけやってウケ無かったら私暴れるわよ」 「そんな元気が残ってればね」 タバサと燦の方もどうやら終わったらしい。 最後の打ち合わせを終えると、コルベールは舞台天井に登ってスタンバイ。 「……何で私もココに居るのよ」 お祭りという事で遊びに来ていたモンモランシーが何故か付帯袖に居る。 ぶちぶち文句を言うモンモランシーを、逃げたら燃やすの一言で連れてきたキュルケはぴしゃっと言い放つ。 「うっさい、ギーシュはお兄さんと一緒なんでしょ? だったらどうせ暇なんだから付き合いなさい」 「もう充分付き合ってあげたでしょ! 何で私が大工仕事なんてしなきゃならないのよ……」 ぐちゃぐちゃ言った所で、既に会場は満員御礼。 前席の貴族席はもとより、外野席に当たる平民用の席も立ち見が出る程の大賑わいである。 モット伯の件は宮廷のみならず平民達の間でも有名で、そんな連中が一体何をやらかしてくれるのかと皆興味津々なのである。 モンモランシーもここまで付き合ってしまった為、引っ込みがつかなくなってしまっているのだ。 大きく深呼吸一つ。 ルイズは舞台袖で皆に気合を入れる。 「行くわよ!」 まずはルイズとキュルケの二人がステージへ出る。 この二人こそモット伯晒し者事件の主犯である。自己紹介が済むと後席の平民達がわっと沸く。 平民を守って悪徳貴族を懲らしめた、そう街中に広まっているせいかエライ人気である。 思わぬ好感触に、二人は気をよくしつつ芸の準備に入る。 二人が引っ張ってきたのは巨大な箱である。 下に車輪がついているおかげで、スムーズな移動が可能なそれを観客達の前で一回転させ、タネも仕掛けも無い事を示す。 何をするつもりかと観客達が見守る中、ルイズがその箱の中に入ってしまう。 箱の上部にある穴から首を出し、準備完了。 箱の大きさはちょうどルイズの体全体がぴったり収まる大きさで、中で身動きする余裕もほとんどない。 そこでキュルケが取り出だしたのは一本の剣。 ルイズとキュルケ、二人の視線が絡み合う。 「い、いいわよっ!」 「おしっ、遠慮無しでいくから覚悟決めなさい」 ぶすーーーーーーーーっ!! 宣言通り遠慮呵責無しに、深々と箱に剣を突き刺した。 箱の上部から飛び出しているルイズの顔が、見るも無残に変形する。 観客席、特に貴族の多い前席からは小さい悲鳴が上がるが、すぐにルイズがにこっと笑ったおかげで皆が安堵する。 もちろん芸はこれで終わりではない。 アシスタントモンモランシーが、舞台袖から剣を十本、重そうにしながら持って来る。 「ちょ! ちょっとキュルケ!」 洒落にならぬ気配を感じ取ったルイズは、顔中から嫌な汗が垂れるのを堪えながらキュルケに抗議する。 「一本や二本じゃ誰も納得しないでしょ」 「だったら最初っから言っときなさいよ!」 「何言ってるの。最初に言ったらアンタ嫌がったでしょうに」 小声でぼそぼそと言い合いながらも、キュルケは剣を受け取り、早々に構える。 「いや、それ死ぬから! 本気で死んじゃうってばあああああああっ!」 「舞台袖に王宮付き医師揃えてるんだから、即死以外は何とかするわよ」 「人事だと思って……ぎゃあああああああああああ!!」 ルイズの悲鳴に重なるように、キュルケはもうこれでもかという勢いでぶすぶすぶすぶすぶすぶすぶすぶすと剣を突き刺していく。 都度貴族のご息女とも思えぬ、もぬすごい顔になるルイズ。 そう、この手品。タネも仕掛けも本当に無いのである。 気合で耐えて、ステージが終わるなり舞台袖に控えている王宮付きの優秀な医師達に魔法で治してもらうつもりなのだ。 箱の底板から赤黒い何かがじわっと染み出てくる。 上部の板にはルイズが吐き出した血が放射状に飛び散り、舞台上まで血しぶきが舞っている。 キュルケは全ての剣を突き刺し終わると、一礼をしようとするが、箱を振り返ってこんこんと叩き、ルイズにも礼をするよう促す。 当然、剣が十一本も刺さってるルイズはそれどころではない。 頭がぐでーっと穴の縁によりかかるように寝転び、反応すら出来ない。 それを見たキュルケは肩を竦めて見せ、観客達に大きく礼をして締めた。 観客達の大爆笑を背にステージ袖まで箱のままルイズを引っ張っていく。 誰も大貴族ヴァリエール家の娘が、本気で自分に剣刺してるなんて思ってもみないのだ。 奥にはサイレントの魔法で音が外に漏れぬようにしてある、簡易手術室が用意されていた。 「早く! 顔が土気色になってきてるわ!」 医師達は呆れすぎて文句を言う気にもならないらしい。 「……すげぇ……本気でやりやがった……」 「馬鹿! ぼさっとしてる場合か! すぐに手術にかかるぞ! バカバカしいとか思うなよ! むしろその勇気を称えろ! そうとでも思わなきゃ治してやる気になんてなれんからな!」 「急所外せばいいってもんでもないだろ……うっわ、ひでぇなこりゃ。この出血でまだ息があるとかそれが既に奇跡だろ」 次なるはキュルケの出番である。 フレイムがやる予定であった火の輪くぐりをキュルケ自身で行うのだ。 流石に品評会の時のような精度を維持しつつアクションは無理なので、火の輪はコルベール作成の鉄の棒に藁を巻いて油を浸し、火を付けるようになっている。 が、実際に火をつけてみたモンモランシーは確信する。 『……こんなのくぐったら自分も燃えるわよ、絶対』 コルベールが油の量を誤ったのか、凄まじい勢いで燃え盛る炎。 実はこれ、自分だけ痛いのが許せないと思ったルイズが、油の量を倍に増やしていたのだ。 曰く「このぐらいスリリングな方がきっと盛り上がるわ! キュルケも私の配慮にきっと感謝するわね!」だそうである。 モンモランシーが舞台袖に戻ってくると、キュルケが水を頭から被っている所であった。 この時体に纏わり付いた水を、モンモランシーとタバサが魔法で操り、火からキュルケを守るというのがこの芸のタネであった。 「キュルケ、多分無理」 炎の勢いを見たタバサは即断する。 「何言ってるのよ! 今更引っ込みつかないでしょ! 二人共頼りにしてるんだから頑張ってよね!」 モンモランシーとタバサは顔を見合わせる。 「……あの氷の矢に耐えたキュルケだし、きっといけるわよね?」 「耐えられるとは思う。患者が一人増えるだろうけど」 三つ程用意されていた火の輪は、その全てが紅蓮の炎で燃え上がっている。 キュルケは、舞台袖から走り出して行った。 モンモランシーとタバサの目には、その背中がうすらぼんやりと透けて見えたような気がした。 いきなり飛び出してきたキュルケは、まず一つ目の火の輪に頭から飛び込んでくぐり抜けると、すぐに立ち上がって観客達に礼をする。 にこやかに笑うキュルケであったが、内心それ所ではなかった。 『何よこれ! 滅茶苦茶熱いじゃない! どうなって……』 一応危ないからと厚手の服を用意していたのだが、その随所から火が上がっている。 水の幕なぞ一瞬で蒸発してしまった模様。 『たばさもんもらんしいいいいいいいいいい!!』 一度引っ込んで再度水の魔法を、そう思ったのだが、観客達は先の芸と同じ芸風かと大笑いで迎えている。 既に引っ込みはつかない。 『ああもうっ! やればいいんでしょやれば!』 豊満な肉体を誇るキュルケの衣服が、炎で焼け焦げ、瑞々しい皮膚が外に晒される。 服の端から燃え尽きていく形になっているので、長めのスカートの端から少しづつ艶やかな太ももが姿を現す。 アクションの大きさもあって、絶対領域は確実に失われていく。 上着は端からではなく、はち切れんばかりに漲った胸部の上から黒ずみ、下の柔肌を露出させていく。 アクションのみではなく、得意の扇情的な仕草を交え、時に淫らに、時に激しく動いて観客達に応える。 キュルケはもう色んな意味でヤケになっていた。 きっちり台座に固定してあった火の輪を素手で掴んで、逆上がりまでしてみせる。 のんびり火の輪の中に座り込みながら欠伸をするなんて真似までやったキュルケは、最後にステージの前に出て会釈をした。 その頃にはもう全身が燃え盛っており、余りに派手な演出は、観客を存分に驚かせ、満足させてくれた。 ロクに前も見えない状態で何とか舞台袖に引っ込み、簡易手術室に駆け込むと、すぐさま全身に水をぶっ掛けられた。 「馬鹿か!? こいつら揃いも揃って発狂してるのか!?」 「普通熱くて動けなくなるだろ! 何で平気な顔してアクションとかやってられんだよ! おかしいだろコイツ!」 信じられぬといった顔の医師達を前に、キュルケはか細い声で言い放つ。 「……き、きあいとこんじょーよ……」 手を上げ、親指立てようとしたが、指が半ばから炭化していて動いてくれなかった。 「アホかあああああああ!! 気合も根性も使いどころ間違えすぎだろ! 誰が得すんだこれ! いやマジで教えてくれって!」 「何という病人。コイツが将来どうなっちまうのか、不安すぎて笑いが止まらん」 ちなみに魔法が無ければ間違いなく死亡である。 いかに火に慣れているとはいえ、全身に二度から三度の熱傷とか医師が匙を投げても誰も責めないレベルだ。 キュルケのステージ直後、大慌てで舞台の天井から降りてきたコルベールに、タバサは冷静に言った。 「あれならまだ治療が間に合う。ミスタ・コルベールがもしもの為に医療スタッフをと言った時、二人が反対しない所か諸手を挙げて賛成した理由をもっと考えておくべきだった……」 「しかしっ!」 「何を言ってももう遅い。次のステージは安全だから安心して」 キュルケもルイズも、この芸にはタネがあるとコルベール、タバサ、燦を騙くらかしていた訳で。 既にステージもラスト、今更中止した所で状況は変わらない。 「説教は私もする。とにかくこれを終わらせないと」 との言葉に渋々コルベールは従った。 最後は燦とタバサのステージだ。 直径3メイルを越える巨大な水槽を、タバサと燦の二人でえっちらおっちらとステージに引っ張り出していく。 コルベールは天井で待機。 しかる後、モンモランシーが人間サイズの箱を引っ張り出してくる。 箱の上部にはロープがついており、その上端は天井裏の簡易な滑車に繋がっていて、ハンドルはコルベールが握っていた。 極めて単純な芸だ。 箱の中に燦が入り、滑車を使って水槽の中に落とす。 箱には穴が空いており、観客の見ている前で箱の中へ水が入っていく。 水槽は箱より高い水位である為、水は箱の中を満たしてしまい、中の人間は溺れてしまうだろう。 が、中に居るのは人魚の燦だ。水を被ると人魚になってしまうが、溺れるという心配だけはない。 確実に中の人間は溺れ死ぬだろうという所まで放置した後、箱を引き上げ、タバサが魔法の布と言って乾いたタオルを箱の上から差し入れる。 それで水気を拭いた燦は人に戻り、扉を開ければ万事おーけいという訳だ。 最後の最後でまともな芸、これを見事に成功させステージで締めくくった二人は、協力者二人と共にステージ前面に並ぶ。 すぐに舞台袖からタンカに乗せられたままのルイズとキュルケも現れる。 それを見た観客達の爆笑を受けながら、六人は礼をし、ステージを終えた。 「ねえキュルケ。何かこう不条理じゃないこれ?」 「理不尽よね。私達だけこんな目に遭ってるのって」 どう考えても自業自得な二人の愚痴を聞いてくれる者は誰も居なかった。 後日、王都トリステインにとある噂が流れた。 例のステージ、あれ実は本当に大怪我を負っていたという噂だ。 出所も確かであったその噂は、しかし一笑に付された。 緊迫感もあり、スリリングなステージであった事は認めるが、まさか本当に刺したり燃やしたりする馬鹿が居るわけがない。 ましてや相手は貴族だ。そんな愚かな行為をどうしてしなければならないのか。 手品の世界では、まさか、という事を本当にやるからこそ客は驚き喜んでくれるという考えがある。 正にそれを地で行く展開であった。 命を賭した決死の芸は、長くトリステイン貴族に限らず平民にまで語り継がれる素晴らしいステージとなったのであった。 当然その後も出演依頼が殺到したのだが、生徒達に伝わる前に学園側が断固としてこれを拒否した。 無理からぬ事であろう。 前ページ次ページゼロの花嫁